娘に喰わせてもらってます。 佐久良咲希

孝行娘と扶養家族。「キミ旅行連れてってもらえないんだ? かわいそう」 オジサンは笑いながら私の下着に手を滑り込ませた。いまから二日間、私はこの人のオモチャになる――。「また養育費振り込まれてねぇぞ」 義父が怒鳴って母を叩けば、母は別れた父に電話をかけて、泣いて喚いて金の催促。毎月の我が家の恒例行事。でも父と連絡がとうとう取れなくなって、預金の残高がゼロになると、義父の怒りは母から私に向けられた。「代わりにオマエが金をつくれ」 家族のためにとウリを強要されるようになり、私が嫌がれば殴りつけ、躾だと犯●れた。義父が暇なとき、苛立ってるとき、何度も何度も犯●れて、一度母に目撃されたときは、「誘ったのはサキ」と悪びれなく主張して、弱い母はそれを受け入れた。やがて義父と母の間に弟が産まれると、母は全く私を見なくなる。食卓は別になり、会話もなく、私は家族にお金を運んでくる何かになった。「あの子にまたウリさせて軍資金増やそうよ、せっかくの家族旅行なんだしさ」 リビングから漏れ聞こえてくる楽し気な母の声。どうして私は家族になれないんだろう、ぜんぶ私が悪かったのかな。ギュっと目を閉じて何も考えないようにしたけれど、明日はすぐにやってくる――。家族のために心を殺し、ただ耐える少女が男の責めに屈したとき、喘ぎと嗚咽が溢れ出た。哀れな少女の物語。

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娘に喰わせてもらってます。 尾崎えりか

「お母さんのことはいいから、エリカは幸せになって」 それが口癖の私の母。いつも父に殴られ謝っていた母。私が怒鳴られそうになると庇ってくれた母。そんな私の大切な母が疲れ果て、病に倒れ入院すると、父は病院代がかかると母を責め、その怒りの矛先を私に向けた。「アイツが働けないならオマエが身体売って稼いで来いよ」 連日のように男たちに身体を弄ばれて、どれだけ心と身体が擦り減ろうとも、父は私から毟り取った。病弱な母のためにと、看護の道に進もうとしていた私の夢も、「そんな暇あるなら吉原行け」と踏みにじられた。父が嫌いだ。客が嫌いだ。セックスが嫌いだ。でも一番嫌いなのは私自身だった。鏡に映る私は母と同じ顔をしていた。全てを諦め受け入れて、私も壊れてしまうのか。イヤだ。そう思ってたある日、客が私に「愛人にならないか」と持ち掛けてきた。言うことを聞くなら学費も出すと男は言う。その下卑た笑顔に不快感を覚える。あの父に奪われるか、この男に奪われるか、どちらを選んでも地獄に変わりはない。それなら私は――。示されたのは二つの最悪な選択肢。男たちの欲望に抗おうと耐え続けた少女の心がゆっくりとひび割れていく。

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